廃墟ビル(筑紫×笛吹・R-18)


いつも通りの多忙な日常の中。
とある有力筋からXに関する情報が流れてきた。
“都内某駅の近くにある廃墟ビル。その屋内に無数の【赤い箱】がある。
もしかしたら、あの〔怪物強盗 X〕のアジトかもしれない”と。

確かにその近辺ではここ数ヶ月野良犬や野良猫の姿が激減したり、不審者情報も寄せられているが・・・。

「笛吹さん。自分は今回のこの情報もガセではないかと疑っているのですが・・・」
すっかり日も落ちた夕刻、くだんの廃墟ビルへと向かう車の中でそう進言する。
「なぜそう思うんだ? 筑紫」
後部座席、書類から目を離さず笛吹さんが尋ねてくる。
「Xには日本中、いや世界中に熱狂的な信者がいます。それだけに模倣犯も星の数ほどいて
実際、今までも何度かそういった情報に踊らされてきました。今回もそんな気がします。
何よりあの“怪盗 X”がこんなに簡単に尻尾を掴ませるとは・・・」
「確かにそうだな」
書類から顔をあげ、運転席の私に声をかける。
「だが、捜査ではそういった固定観念は時として誤った答えを出してしまう。特に今回は周辺で
不審者が幾度となく目撃されているのだから何かはあるはずだ。だからこうしてお前や私も直々に
出向いてなるべく少数の人員で事を見定めようとしているんじゃないか」
“なんにせよXに関わる情報はどんな些細なことでもかまわないので入手しておきたい”
そう言いながら再び書類に目を落とす。
(Xに関わる情報ですか・・・)
心の中でそうつぶやきながら、その言葉の裏に笹塚さんの影が見え隠れして
私は少し不愉快な気分になる。
世界中の警察が、この正体不明の“怪物強盗 X”をなんとか逮捕したいと思っている。
笛吹さんもいち警察官として、Xを逮捕し無意味な殺戮を止めたいと純粋に思っている
その気持ちに嘘はないと思う。
だがXを逮捕したり、情報を得ることで笹塚さんの力になれることもまた揺ぎ無い事実で・・・。
笛吹さんがここまでXの事件に肩入れするのは半分以上笹塚さん絡みではないかと思い、
また本人がそれを全く意識していないことに再び苛立ちを覚え、ついアクセルを踏み込んでしまった。

目的の廃墟ビルに到着すると外はもうすでに真っ暗だった。
先に到着していた捜査員たちが封鎖された駐車場のチェーンを外し、4階の屋上駐車場へと誘導してくれる。
「廃墟ビル、と聞いていたが本当に荒んだ風景だな・・・」
駐車場の壁のあちこちに描かれた無数の落書きや破壊された壁を見つめながら笛吹さんがつぶやく。
「ええ、ほんの2〜3ヶ月前までは結構大手のスーパーが出店していたのですが・・・」
「この不景気のあおりで潰れたんだな」
「ええ、もちろんそれもありますが・・・」
と言いかけたところで屋上に到着し、先発の捜査員達と合流できたためここで話を打ち切った。

とりあえず今日の捜査方法としては捜査員は何名かに分かれてこの廃墟ビルの中をくまなく調べる。
途中で不審な赤い箱やそれに関する物、また不審人物を発見したときは屋上の車の中で待機している
笛吹さんと私に必ず無線連絡すること。少人数での捜査のため決して深追いはしないこと等を確認し
各各の配置についた。
「何か収穫があるといいですね」そう言う私に
「何でもいいから必ずXの痕跡を見つけ出してやる」と、笛吹さんが自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「ところで筑紫、お前さっき何を言いかけた?」
捜査開始から30分「今のところ特に変わった様子はありません」
との報告を受け少し緊張が緩んだ時に思い出したように笛吹さんが聞いてきた。
「さっき、といいますと・・・?」
「ほら、さっきここに着いた時、ここに前にあった大手スーパーが閉店した理由。経営難だけが理由じゃない、
みたいなことを言いかけていたじゃないか」
「ああ・・・」
と言いかけて少しとまどう。
「・・・笛吹さんに話していいのかどうか迷いますが・・・」
「そんなこと言われたら余計に気にかかる! いいから話せ」と言われ
(後で『聞かなきゃ良かった』って後悔しても知りませんよ・・・)と思いながらも勢いに押され話すことにした。
「実はこのビル、その大手のスーパーだけじゃなく全国に支店のある有名家電量販店や業界1位の
パチンコ店なんかも店を出していたんですがそれもことごとく潰れているんです」
「何で? 一応人の出入の多い駅前だし周りには沢山住宅地や中堅どころの会社の支店もあるし・・・
大学もあるので学生の出入もあるので場所としては一等地じゃないのか? 何で潰れるんだ?」
「ええ、変ですよね。・・・実はここ『どんな店が出店してもうまくゆかない』と評判のいわゆる“いわくつきの場所”なんですよ」
顔中疑問符だらけで目をパチパチさせている笛吹さんに構わず話を続ける。
「“いわくつきの場所”っていうのはよくありますが、ここも『昔、墓地だったのにちゃんとしたお払いもせずに
建物を建てた』とか『昔ここにあった店から出火して多くの人が焼け死んだ』とかいうよくあるネタなんですが」
「それで未だに成仏できない霊魂の影響でここで店を出してもすぐに潰れてしまう、と・・・・」
「ええ、まあそういうことです」
そう言い終えた瞬間
“パコーン!!”
書類のファイルケースで思いっきり頭をはたかれる。

「笛吹さん・・・?」
あんまり痛くなかったけど、おおげさに頭を抱える私に
「私がそういう類の話が苦手だ、と知っていながら何でそんな話をするんだ、筑紫ぃ!!」
怒りで眉間がピクピクしている笛吹さんに
「だって笛吹さんが『話せ』って言ったんじゃないですか」
真面目にそう反論して再びケースではたかれそうになった時
ピーッと無線連絡が入る。
「私だ。何かXに関する物でも発見できたか?」
「いえ、笛吹警視。Xに関する事柄は発見できませんでしたが、意外な人物がいました。
『青いカナリヤ』の構成員、Rです。先の交番襲撃事件で全国指名手配になった人物です。
間違いありません。今、他の捜査員が見張っていますがどうしますか?」
「笛吹さん『青いカナリヤ』というと・・・」
「ああ、今日本で1番危険視されている過激派のグループだ。
その構成員のRは交番襲撃事件だけでなく前警察庁長官への発砲未遂事件などにも関与していると当局よりマークされている奴だ」
一瞬、緊張が走る。
「筑紫、お前はこの件を上に報告しろ。場合によってはXの捜査ではなく過激派グループの逮捕、という展開になるかもしれない。
とりあえず上の意向を確認しろ。捜査員たちはそのままRの監視を続けろ」

てきぱきと指示を出し、建物の見取り図を確認し始める。
その有能な上司の姿はさっきまでの怪談話に動揺していた人と同一人物だとはどうしても思えない。
思わず笑みが漏れる私を怪訝な目で笛吹さんが見つめる。
「いえ、さっきの怪談話もXのアジトという噂話も、もしかして過激派たちが流したものかなと思いまして・・・」
「ありうるな。自分達のアジトにむやみに人を寄せ付けないために嘘の情報を流したのかもしれない。
テロリスト達がよく使う常套手段だ」
暫らくして私の携帯に着信が入る。
「笛吹さん。上層部からの連絡です。一旦Xの捜査は休止して過激派Rの逮捕に専念しろ、と。
ただ、できれば『青いカナリヤ』の一網打尽を試みたいので、できるだけ泳がせて仲間と接触する機会をうかがえと。
そのために必要な人員はいくら使ってもらっても構わない、とのことです」
「わかった」
笛吹さんが、そう返事をしたと同時に再び無線が入る。
「笛吹警視、Rがこのビルを出てタクシーを拾いました」
「よし、そこにいる捜査員全員で追え。絶対に見失うな。また応援も呼ぶのでタクシーの進行ルートなど逐一私に連絡しろ。
ここから指示を出す」
「筑紫、今夜は大捕り物になるかもしれないな」
頬を紅潮させ少し興奮気味に話す笛吹さんに一瞬ドキリとする。
なんとなく手持ちぶさたな感を覚え、車のドアを開け外へ出て行こうとする。と
「こんな時にどこへ行くんだ、筑紫」
笛吹さんがものすごい力で私のスーツをひっぱる。
「どこって・・・ここが『青いカナリヤ』たちのアジトなら何か逮捕につながるような物証はないかと。
少しこのビルの中を調べてみようと思いまして・・・」
「それで私をこんな所に一人で置いていくつもりか! そんなことしていきなりテロリスト達が現れて私の身に何かあったらどうするつもりだ」
「笛吹さん、いくらテロリストでも屋上からいきなり現れることはないと思いますが・・・。
目立ってしょうがないですし。それに笛吹さんだって一応、護身術や逮捕術ぐらい身に着けているでしょう?」
「そうじゃなくて、これから大変な情報が流れてくるかもしれないのに・・・。
そうなったら私一人で情報を処理しきれないし・・・・何よりこんな暗い所で一人って・・・」
だんだんと声が消え入りそうになる。
「笛吹さん・・・?」
「だいたいお前がこんな時に怖い話をするのが悪いんだ!!」
「笛吹さん・・・もしかしなくても・・・お化けが怖いんですか・・・?」
顔を真っ赤にして視線を逸らす。
おかしくて堪らなくなり、車の中に戻って笛吹さんを抱きしめる。
「筑紫・・・?」
「本当に可愛いですね。仕事では素晴らしく優秀で有能な方なのに霊やお化けの類が怖いなんて」
「だって・・・昔から幽霊とか苦手なんだ・・・」
そう言ってぎゅーと抱きついてくるのが、また可愛らしくて私のイタズラ心に火がつく。
「笛吹さん、前に幽霊はエロい話が苦手だから、そういう心霊スポットなんかではエロトークしたり
Hなことしてたら霊は寄ってこない、って教えたことありますよね・・・」
えっ・・・と引き攣る笛吹さんを無視して助手席のシートを倒して覆いかぶさる。
「筑紫ーっ! お前、またそんなこと言って変なことする気だろう? もうだまされないぞ。
それに今は大事な仕事中だ!」
必死になってじたばたと抵抗をする。
「それにさっきお前も言ってたじゃないか。ここに霊が出る、っていうのはテロリスト達が自分達の
都合で流したデマかもしれない、って」
「確かにそう言いましたが、ここに出店した店が次々と潰れていったのは紛れもない事実ですし・・・。
それに本当のことを言うと、このビルに入ったときからうなじの部分がピリピリと痛むんです。それに、ほら」

上着を脱いでシャツの袖をめくり上げる。
「ほら、見えますか? ずーっと鳥肌が立っているんですよ・・・。ここ、間違いなく『いる』と思います」
「筑紫・・・お前、確か・・・」
「ええ、結構霊感は強い方なんです」

そう告げると顔色を変えて力いっぱい抱きついてくる。
「筑紫・・・怖いのヤダ・・・。幽霊とか死んでも見たくない」
“・・・死んだらお仲間だと思いますよ”という私の軽口も笛吹さんの耳には全く入っていないようで・・・。

「じゃあ、私の言うとおりにしてたら霊は寄って来ませんので・・・イイ子で言うことを聞きますか?」
そう言うと、コクンと頷き自分から背中に腕を回して唇を重ねてきた。

「筑紫・・・全部脱がせるの?」
シャツのボタンを全て外したところで笛吹さんがトロンとした目で尋ねる。
「そうしたいのはやまやまですけど・・・。万が一下手に応援が来て言い訳できない状況も
まずいので・・・この辺で我慢しますか」
ズボンのベルトを外し、下着の中に手を入れてゆっくりと笛吹さん自身を揉みしごく。
「あん・・・筑紫ぃ・・・気持ちいい・・・」
うっとりするような目で誘われると堪らなくなり、後ろから笛吹さんを抱きかかえて執拗に胸の
突起を責める。硬くなった乳首を指で痛いくらいに摘み上げる。

「ココ・・・最近笛吹さんは痛いぐらいでないと感じなくなってきたんですよね?」
乳首を指先でコリコリと責め続けながらそう言うと「ひっ」と小さな悲鳴が漏れる。


その時、無線が入る。Rを追っている捜査員達からだった。

「笛吹警視、Rを乗せたタクシーが首都高の××線に入りました」
「う・・・わかった。応援を要請するから・・・お前達はそのまま追い続けろ・・・」
なるべく平静を装いながら指示を出す。

「笛吹さん、よくできましたね。じゃあ、そのまま上層部に応援要請の連絡をしましょうか」
「はぁんっ」
再び笛吹さんの下着に手を入れて半勃ちだったペ●スをしごき始める。

「つ・・くし・・・今は手を止めてぇ・・・。感じすぎて・・・上手く報告できない・・・」
「ダメです。Hなことしてないと怖い幽霊が来ますよ?」
「ああん・・・ダメぇ・・・出来ない。お願い手を止めて・・・」
乱れた息遣いで懇願する。
「しょうがないですね・・・それじゃあ・・・」
と笛吹さんの身体を回転させ、私の股間に跪かせる。
そそり勃った私自身を取り出し
「私が代わりに連絡してあげますから・・・咥えなさい」と命令するととまどいながらも素直に口の中に含む。

拙い口技に軽い快感を感じながら、上層部に連絡を入れると案の定『報告が遅い』とおかんむりだった。
『大体筑紫君、なぜ君が連絡を入れてくるんだ? 笛吹君は一体何をしているんだ?』
声を荒げるお偉いさんに
『すみません。笛吹さんは今、ちょっと手が離せないもので・・・』
(最も離せないのは手だけじゃないんですけどね・・・)と心の中でほくそ笑む。

「あん・・・筑紫の大きい・・・もう、口の中に入らない・・・」
涎で口の回りをぐっしょりと濡らし、とろけるような上目遣い。
「じゃあ、下のお口には入りますか?」
そう言って拭った唾液で濡らした指を一本、笛吹さんの蕾にあてがう。
ひくひくと脈を打つソコはすんなりと私の指を飲み込む。

「イヤラシイ子ですね・・・仕事中にこんなに濡らして・・・。もう一本、入れてあげましょうか?」
「ああんっ・・・!!」
二本目の指を挿入させ、コリコリと内部を掻き回す。


「イイっ!  イイ・・・筑紫・・・もっとぉ・・・もっとぉ・・・」
「もっと・・・何ですか?」
じらすように内部を時に深く、時に浅く引っかくように刺激する。

「・・・欲しい・・・筑紫の・・・大きくて・・・硬いのが欲しい・・・」
涙目になりながら激しく喘ぐ。

「じゃあここに両手をついて・・・そう、もっと腰を浮かせて・・・」
車のダッシュボードに両手をつかせ、細腰を抱える。
座ったままの状態でいきり勃った私のペ●スをあてがうとズブズブと音を立て私自身を飲み込んでゆく。
「はぁんっ・・・! 筑紫ぃ・・・前も・・・前も触って・・・可愛がってぇ〜」

半分振り返ってのエロいオネダリ顔に満足し、笛吹さんのペ●スを揉みしごく。
「ああん・・・あん・・・あ・・・もう・・・筑紫ぃ・・・」
淫らに腰を振り続ける淫乱な上司に大満足しながら、私も腰の動きを激しくさせる。

と、その時再び無線が入る。

「笛吹警視、Rを乗せたタクシーが高速を下りて幹線沿いの××という店の前で止まりました。
以前から過激派の集まる店、とマークされていた喫茶店です」
「・・・わ・・かった・・。あ・・応援を要請したから・・・合流して・・・はっ・・・・踏み込める準備が整ったら・・・あっ・・」
激しく一突きすると甘い声が漏れる。
「・・・警視? どうかしましたか?」
とまどったような捜査官の声。
「なんでもない・・・。とにかく準備が整ったら報告してくれ・・・」
力なく無線を切る笛吹さん。

「・・・・犯されながら、部下に指示を出すのはどんな気分でしたか・・・・?」
耳元でそう囁くと・・・・

「・・・興奮した・・・すごく・・・」
「部下が一生懸命捜査をしているときにセックスに耽っているなんて・・・貴方は最低の上司ですね・・・。
でも・・・私にとっては・・・最高の恋人です」
そう言って激しく最奥を突き上げる。
「あーっ!! つくしぃ・・・・出る・・・出ちゃう・・・イッちゃうーっ!!」

ダッシュボードに爪を立てピクピクと身体を震わせながら白濁した液を吐き出す笛吹さん。
「ぐぅっ・・・」
同時に私自身をきつく締め上げられ、私も笛吹さんの中に熱い想いを吐き出した。


「笛吹さん、どうやらテロリスト達、数名確保できたそうですよ」
力なくぐったりと助手席に横たわる笛吹さんに報告する。
「う・・・ん・・・途中で無線が鳴ってたのは気づいていたんだが・・・」
「踏み込む前に捜査員達の存在に気づいて無理矢理逃げようとしたのが裏目に出たようです。
待機していた応援の捜査員達に見つかってRを始め、そこにいた全員あっさり捕らえられたそうです」

「そうか・・・。後で連絡が遅い、とか判断が悪いとか上からお小言をいわれそうだが・・・」
「まぁ、とりあえずは大物過激派グループを逮捕できたんだから降格とかはないと思いますよ。
仕事中にカーセックスしてたことさえバレなければね」

「それはもとはといえば筑紫、お前が・・・」
と身体を起こそうとする笛吹さんを抱きかかえ、そっと眼鏡を外し胸の中に抱きしめる。

「少し眼鏡が歪んでしまいましたね。これからは車でのHの時もちゃんと外しているほうがいいですね」

「もう・・・車の中ではごめんだ・・・」
笑いながらそう言い、胸に顔を埋め甘える。



そんな素直でHで可愛い私の笛吹さん・・・。
最後に眼鏡を外した本当の理由を教えてあげましょうか?

実は貴方が今、顔を上げた角度にちょうど見えるんですよ。


柱の影からこちらを悲しそうに見つめる“この世のものではない”白い着物を着た人が立っているのが・・・・。


END


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『バニラ』様の2000打目を踏ませていただき、オンリーでおねだりして書いていただいたSSです!
ああ…ビバ☆エロ上司!!!!!
筑笛を堪能させていただきました。
ごま様、本当にありがとうございました!!
『死んだらお仲間』が自分の中で大ヒットです。

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